我が子の目標を親が決めてはいけない
中学校のテスト対策の時期に差し掛かると、私はテストに向けた目標設定を行う時間を設けます。そして、生徒たちにテストで獲得したい点数や学年順位の目標を設定してもらいます。
目標設定は、本人が行うことが大切です。目標設定にも技法があり、高すぎる目標でも低すぎる目標でも効果が出ません。
目標を設定する上で大切なことは2つです。
①本人の現状の学力に即した最適目標を設定すること。
②本人にとって価値のある目標であること。
私は学習指導者の立場ですから、過去の多くの教え子たちの事例をもとにして、今いる生徒たちの目標設定が適切か否かを判断できます。高すぎる目標だったり、低すぎる目標だったりしたら、本人と話し合い若干変更してもらいます。
さて、お子様のテストの目標点数を保護者さまが決められることがあります。
私はオススメしません。
例えば、500点満点で300点の子に対して、お母さんが「次のテストで420点を取りなさ」と言います。
私の経験上、1回のテストで120点上げるのは至難の業です。私の過去の教え子を振り返ってもこのような事例は思い出せません。そのようなことを普通に我が子に伝えてしまうのです。
本人は、本当に420点を取ろう!と燃えているのでしょうか。仮に燃えていたとしても、もし420点を取れなかったら、本人は「やっぱり自分には無理だ」と思ってしまうのです。
本人にとって、「次のテストで350点取れたら達成感を味わえるなぁ」と思えれば、それが次の目標になります。理屈だけではなく、感情面からワクワクする数値を決めることが大切です。
お母さんが目標点を決めてしまったら、本人の「何が何でもこの点数を取りたい!」と言う感情を引き出すことはできません。
目標を設定することは、お子様の力を大きく引き出す大事な技術です。しかし、目標はあくまでも手段であって目的ではないのです。
目標を設定し、確実に達成していくことを積み重ねた先に、自分に対する自信が芽生え、さらに高い目標を目指して努力するようになるのです。
目標設定は簡単なようで難しいものです。
やはり、学習面のプロから情報やアイデアをもらいながら、本人が決められるように促しましょう。